私が学生のころは、国立大学の学費は月額1000円だった。
したがって、家庭教師や塾のアルバイトを2,3やれば、学費と教科書代に加えてサークル活動やゼミ旅行の費用も賄えた。
就職の心配もあまりせず、1年はモラトリアムとしての留年をする学生も多かった。
しかし、今や大学を出たからと言って、安定した職につくことは難しいし、卒業時には奨学金という名の借金を百万円単位でかかえてしまうことも珍しくない。下宿生や私立大学では、親の援助がないと通うのは難しいだろう。
大学院へ行くのも、決してキャリアアップのためではなく、就職ができないとか、指導教授の甘言に釣られてということもあると聞くし、なにより、その後の人生にとってマイナスにしかならないことも多いそうだ。
大学が増えすぎたという事情もあるし、不況が長期化して日本自体が体力を失っていることもあるかも知れない。
しかし、真面目に勉強したもの、努力したものが大概は報われるという社会でなければ、社会の発展はあり得ない。いつクビになるかもわからない非正規の仕事しかないのが当たり前という現状を変えていかないと日本の将来は暗いだろう。