毎日新聞の記者だった藤田信勝が昭和20年8月15日前後の日記を、昭和22年に出版した。版元の「秋田屋」という、まるで近所の酒屋さんのような名前の出版社はとうに無くなっており、藤田さんの孫が、祖父の本棚?にあるのを見つけ出した。再版の価値があるとして、旧仮名遣いを改めて、近年出版された。
「敗戦以後」とは、味も素っ気もないないタイトルだが、いやぁ、面白い。当時の新聞記者の「感覚」が伝わってくる。「民主主義」に対する期待と日本人の文化程度に対する懸念、やってくる占領軍に対する恐れ。そして日々の食糧難との闘い。
今の日本も、敗戦時と似たような苦難の時期であり、敗戦日本のスタートを実感するのにお勧めの1冊である。