袴田事件の再審請求人袴田巌さんがギネスブックに登録されたという。死刑囚としての在監期間が世界一というのだ。こんな世界記録は願い下げにしたい。
袴田さんは1968年9月に1審で死刑判決を受けて(1980年12月に最高裁で確定)、以来、死刑囚として45年もの長期間、拘置が続いている。袴田さんは拘禁精神病にかかって、身内の面会もままならないと言われている。
死刑囚として長期間の拘禁が続いているのは奥西勝さんも同じだ。奥西さんは1審が無罪判決だったので、1969年9月に2審で逆転死刑判決を受けてから、死刑囚となった(1972年に最高裁で確定)。奥西さんは八王子医療刑務所で点滴栄養のみで生きている。
死刑確定からの期間がもっとも長期なのは、マルヨ無線事件の尾田信夫さんだ。1968年12月に1審で死刑判決を受け、1970年11月に最高裁で確定している。
いずれも死刑執行の恐怖と闘いながら、裁判所に絶望しながら、しかしそこにしか希望を見出せないまま、何十年という長い間、再審請求が闘われている事件である。