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高畑アクセス法律事務所



紀子三部作

 小津安二郎監督、原節子が「紀子」役を演じる三部作、「晩春」「麦秋」「東京物語」をビデオで見た。
「紀子」役といっても3つの映画に関連はなく、しかも配役が原節子の外、笠智衆、杉村春子、三宅邦子など同じような俳優が出てくるし、昭和20年代の中流家庭という設定も似たようなものであるから、叙情的な映像には懐かしさを感じるが、三本続けてみると、日本社会が大変な時代に、娘の縁談を軸とした家庭内の些事を淡々と描く映画ばかりで、食傷気味になってしまう。
 原節子は、ハリウッド女優に似た雰囲気が漂っているが日本式の美人ではないし、大きめの口にいつも笑顔を絶やさない演技は少ししらける。戦争直後で、健康的でやや太り気味な体型の方が美人とされていたからか、「晩春」では、叔父さんから、嫌みではなく「太ったんじゃないか」と言われるシーンがある。高島田の花嫁姿を披露するが、ついに夫となる人は画面に登場しない。「麦秋」や「東京物語」でも、出征して帰らない家族がアクセントになっているようで、小津は画面に登場しない人物を、観客に想像させようとしているのだろうか。いずれの映画にもいたずら小僧の子役が配置され笑わせてくれるが、20代の紀子に「おばさん」と呼びかける。いまの時代には「禁句」とされる言葉が自然に飛び交うのも、その時代の映画ならではだ。
  笠智衆は「麦秋」では東山千栄子と親子なのに、「東京物語」では夫婦。当時から老け役だったのかも知れないが、こんがらかってくる。ま、この映画の時代には、20代後半の女性は「いき遅れ」だし、50代後半の男はまぎれもない「老人」であることを知らされる。
 
by accesstakabata | 2013-06-10 14:38
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