高畑アクセス法律事務所



名張事件第7次再審 抗告棄却で終了

名張事件第7次再審で、2度目の最高裁特別抗告審の決定が、唐突に出た。
6月に出た検察官の主張や資料に対して、弁護団が9月末には反論及び鑑定書を提出する旨予告し、実際、9月末に提出したばかりなので、弁護団としては最高裁がこれらの書類を検討して決定を出すのは早くても年末だろうと予想していた。弁護団の中には、奥西氏の病状が深刻であり、その死亡により係属中の再審は終了するので、最高裁はそれを待っているのではないかと考える者もいた。
しかし、最高裁は弁護団の予想を超えて、弁護団が直近い出した書類を検討した形跡もなく、再審棄却の決定をした。名古屋高裁の異議審決定と検察官主張に寄りかかった判断であった。
第7次再審で、一度は再審開始決定が出たものの、その後は、一般にはなじみのない毒物鑑定に争点が絞られていた。事件で使われた農薬が、奥西勝氏の所持していたニッカリンTか、それとは別のテップ剤か。事件当時の鑑定結果は、対照検体であるニッカリンTからは出ていた副生成物が検出されなかった。検察官は、ニッカリンTであっても、副生成物が検出されない理由をその場その場で、いろいろと主張してきた。今となっては、これらの主張が根拠のないものであることは明白になった。
しかし、差戻異議審では、エーテル抽出という操作をするとこの副生成物は検出されないという鑑定結果が出され、これに対して弁護団は「塩析」をすれば、エーテル抽出のうえ検出ができるという鑑定を出して対抗したが、最高裁は、塩析をしたという証拠はないとして斥けた。
第5次再審では、奥西氏が歯でかんで開けたと鑑定で断定された王冠について、鑑定の誤りが暴露されたが、それでも「奥西氏が開けたとしても矛盾はない」とされ、今回も毒物が「ニッカリンTである」とされていたのが、「ニッカリンTの可能性はある」として確定死刑判決を擁護したのである。
奥西氏は1年数か月前に八王子医療刑務所に移送され、寝たきり状態となり、人工呼吸器を装着され、食べることもできず、声を発することもできない。命のともしびを燃やし続けているのは、「自分は無実だ。冤罪を晴らしたい」という一念である。
奥西氏の希望にこたえられなかった弁護人が奥西氏に「ごめんなさい」と伝えたというが、その思いは裁判所に伝わらなかった。歯型鑑定にせよ、毒物鑑定にせよ、これが通常審で提出されていたら、死刑判決は維持されていただろうか。「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則よりも「確定判決の維持」に重きを置いた決定というべきだろう。
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by accesstakabata | 2013-10-18 13:45
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