伝説の大物テロリスト「カルロス」を描いたフランス映画。
3部作で全編5時間30分にも及ぶ大作である。
刈谷日劇で鑑賞。
ベネズエラ生まれのテロリストの70年から80年にかけての行動を、ときにニュース映像を交えて描いた映画であり、見ごたえがある。「マルクスレーニン主義」を掲げ、反帝国主義闘争を続けるテロリスト カルロスに対して感情移入することなく、淡々と描いている印象であり、5時間半に及ぶ長尺であるが、退屈さを感じさせない。カルロスは、集会やデモで世界を変えることはできないと言って、テロリズムに傾斜していくのだが、テロでは世界を変えることもできないことを逮捕されてから悟ったのだろうか。
テロリストを利用できるときは利用して、役に立たなくなればポイ捨てする国家の非情さも描かれている。ま、暴力団をときには利用する保守政治家や資本家と同じかな?
第1部では日本赤軍のコマンドがハーグの大使館を襲撃する場面があり、そこでは日本語が話される。
場面によって、英語、ドイツ語、フランス語が駆使され、場面もヨーロッパだけでなく、ヨルダンや南イエメン、最後はスーダンまで出てくる。スーダンの場面で歌われている音楽が、日本の演歌によく似ていると感じたのは、私の錯覚だろうか。
なんといっても主役のカルロスを演じる俳優がすばらしい。青年期の引き締まった体から中年のだぶついたころまでを、よく一人で演じられるものだと思う。
朝1からの観客が5名。第2部から中年カップルが入って、女性1名退出で6名。
第3部になって、途中で場面が一時停止すること3度、そしてラスト10分程度になったら、映写が完全に止まってしまった。残念!