三浦しおん原作の「林業」映画。
昨年、同作者原作の「舟を編む」がよかったので、期待して観に行った。
監督が「スウィング・ガールズ」や「ウオーターボーイズ」の矢口史靖なので、
喜劇調にはなるんだろとは思っていた。
ロケ地は三重県の美杉村(現在は津市に編入)。
主演の染谷将太は、へらへらした青年役にぴったりだが、相手役の長澤まさみと
の呼吸はイマイチ。伊藤英明は山の男を演じて過不足がない。優香もすっぴんで頑張っている。
ストーリーは、都会育ちで受験委失敗したやわな学生が、森林組合の研修生に応募して、
ビビりながらも、山の男に少しだけ成長していくというお話。
笑いをとる場面はしっかりちりばめられているし、
スギの大木を倒して、木のレール上をつっこませる「奇祭」のクライマックスは、構成として秀逸。
観て損はない。
林業は、木を植えて伐り出すまでに100年のスパンを見なければならない仕事であり、
自分の仕事の成果が現れるのは、孫やひ孫の世代であるという、今の時代にはなんともまどろっこしい
産業である。そして、外国材の輸入により国内の林業は瀕死の状態であるとも聞く。
この映画には、そのような社会性は全く描かれていないが、生き急ぐ現代人にたいして
「なあなあ日常」が貴重なことを感じさせてくれる。