弁護士の広告宣伝は2000年に解禁になった。
それまでは、弁護士会の行事のときなどに連名の名刺広告とか、電話帳広告が許されていただけだった。
現在は、新聞やラジオで毎日のように弁護士の広告が見られ、また、電車やバスにも、債務整理・借金相談を中心とした広告がよく見られる。
各法律事務所はインターネットのホームページをつくって、顧客勧誘に力を入れている。
弁護士の知合いのいない市民の方が、このような広報・宣伝により相談の機会を得て紛争解決に至れば、それはそれで望ましいことと言えよう。
しかし、名古屋のラジオで東京の法律事務所が借金相談の宣伝をし、「東京に来る必要はありません」などと言うのはやり過ぎである。
弁護士は、依頼者と直接面談して、相談に乗り依頼を受けるのが原則である。依頼者に直接会わずに、電話と書面の郵送だけで処理するというのでは、非弁活動(弁護士でないものが法律事務を行う)の隠れ蓑にもなりかねない。
このような宣伝をする法律事務所に、債務整理を依頼し、過払金のある業者についてだけ解決し報酬をとり、後は破産するしかないケースで投げ出されたケースがウチの事務所に回ってきた。これでは、貧困ビジネスの業者と何ら変わるところがない。
特殊な事件で、東京でないと受任してくれる弁護士がいないというような希なケースなら別だが、債務整理案件など、どの地方にも担当する弁護士はいる。遠方の姿の見えない弁護士に依頼することは避けた方がよい。