栃木県足利市の幼女殺人事件で、無期懲役が確定している菅家さんの再審請求で、DNA再鑑定をしたところ、不一致という結論が出て、再審の可能性が高まったという。幼女の着衣に付着した体液のDNAと菅家さんのDNAが、1990年代初頭のDNA鑑定では一致するとして、有罪の決定的証拠になったものが、技術の進展で詳しく鑑定したところ不一致となったものだ。
簡単にいえば、血液鑑定でむかしABO式だけで調べて「同一である」との結論を出していたのが、それ以外のMN式やRh式でも調べてみたところ、その部分は一致しなかったというのと同様なことなのだろう。
科学鑑定というのは、ある意味絶大な影響力を持っている。科学の専門家が「これでまちがいない」と言うと素人である法律家はなかなかこれに反駁できない。しかし、捜査に協力する専門家が捜査官の意向に沿った鑑定意見を出し、それが後で間違いであることが明らかになった例は、冤罪事件の歴史の中ではいくつもある。
DNA鑑定の技術の進歩で、冤罪が明らかになった例は、アメリカのドリズィン教授の研究でも多数示されている。日本でも足利事件がその嚆矢となるだろうか。