今日から小中学校は冬休み。クリスマス・お正月が続き、最も楽しい季節だろう。
私が小学生の時の担任の先生であったY先生は、海軍の生き残りで、原爆投下直後の広島に入られて、救援活動に従事された。原爆投下は悲惨な出来事だが、それがなければ、戦争がなお続いて日本は本土決戦で、いっそう苦しみの中にいただろうという趣旨を話されたことがある。
私の記憶では、Y先生は、なぞの爆沈をした戦艦陸奥の搭乗員であったと話されていたと思うのだが、陸奥爆沈時の乗組員は9割以上がその場で死亡し、生き残った人たちも南方の激戦地に送られて、生還を果たした人はほとんどいないそうなので、近くの軍艦から陸奥の沈没を見聞していただけのことかも知れない。
陸奥沈没のなぞについては、吉村昭の「陸奥爆沈」が面白い。戦闘行為でもなく、「事故」でもなく、テロでもなく、何者かの「犯罪」により一時に1000名を超える死者を出したという点でも、空前絶後の事件だ。
Y先生は、つるっパゲで短躯・デブ。外観はさえない人だったけれど、子どもたちに掃除をさせるときに、先頭に立って、トイレの便器を拭いていたことを覚えている。小学校の先生方は、今から考えると、けっこうわがまま勝手な人もいたなと思うこともあるけれど、Y先生は立派な教師だった。